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「よく聞きなさい、友よ、よく聞きなさい! 私もおん身も罪びとである。 現に罪びとである。 だが、この罪びとはいつかはまた梵になるだろう。 いつかは涅槃に達するだろう。 仏陀になるだろう。 さてこの『いつか』というのが迷いであり、たとえにすぎない! 罪びとは仏性への途中にあるのではない。 発展の中にあるのではない。 われわれの考えでは事物をそう考えるよりほか仕方がないとはいえ。 ——いや、罪びとの中に、今、今日すでに未来の仏陀がいるのが。 彼の未来はすべてすでにそこにある。 おん身は罪びとの中に、おん身の中に、一切衆生の中に、成りつつある、可能なる、隠れた仏陀をあがめなければならない。

「シッダールタ」 – ヘルマン・ヘッセ –

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あらゆる真理についてその反対も同様に真実だということだ!つまり、一つの真理は常に、一面的である場合にだけ、表現され、ことばに包まれるのだ。思想でもって考えられ、ことばでもって言われうることは、すべて一面的で半分だ。すべては、全体を欠き、まとまりを欠き、統一を欠いている。崇高なゴータマが世界について説教したとき、彼はそれを輪廻と涅槃に、迷いと真、悩みと解脱とに分けなければならなかった。ほかにしようがないのだ。教えようと欲するものにとっては、ほかに道がないのだ。だが、世界そのものは、われわれの周囲と内部に存在するものは、決して一面的ではない。

「シッダールタ」- ヘルマン・ヘッセ –

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戦争から戻ってきて、私は重い病気になりました。あちこちの病院をまわり、ついに年老いた教授のもとにたどり着きました。その人が主治医になりました。薬よりも言葉で治してくれた。私の病気を説明してくれたんです。「もしあなたが、十八歳や十九歳で前線に出たのなら、身体ができていただろう。でもあなたは十六の時だったから、まだまだ若くて、身体がひどくトラウマを受けてしまった」、と。「もちろん薬はある」と先生は説明しました。「薬でも直せるが、ほんとうに健康を回復したいなら、生きていたいんなら、私の唯一の助言は、結婚して、できるだけたくさん子供を持つことだ。それしか救いようはないな。子供を一人産むたびに身体は回復していく」

「戦争は女の顔をしていない」- スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ –

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「たしかに、シッダールタよ」と彼は言った。「おん身の言おうとすることはこうだ。川は至る所において、源泉において、河口において、滝において、渡し場において、早瀬において、海において、山において、至る所において同時に存在する。川にとっては現在だけが存在する。過去という影も、未来という影も存在しない」「そうだ」とシッダールタは言った。「それを学び知ったとき、私は自分の生活をながめた。すると、これも川であった。少年シッダールタは、壮年シッダールタと老年シッダールタから、現実的なものによってではなく、影によって隔てられているにすぎなかった。シッダールタの前世も過去ではなかった。彼の死と、梵への復帰も未来ではなかった。何物も存在しなかった。何物も存在しないだろう。すべては存在する。すべては本質と現在を持っている」

「シッダールタ」- ヘルマン・ヘッセ –

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“……そう、それは不可能だ。どんな経験であれ、生で感じたままを他人に伝えるのは不可能だ ── 生の感覚こそが、その経験の真実であり、意味であり ── 捉えがたい深い本質なんだが。不可能なんだ。人はみな独りぽっちで生きている ── 夢を見る時に独りぽっちなのと同じように……”

「闇の奥」- コンラッド –

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世間一般の考えに従って生活することはごく易しい。 また、自分の事だけ考えて孤独の生活を送る事もごく易しい。 だが悟りを開いた人間とは、群集の真っ只中にありながらも、 自立の醍醐味を心ゆくまで味わうことのできる人間である。

– ラルフ・ウォルド・エマーソン –

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The conditions of a solitary bird are five:
The first, that it flies to the highest point;
The second, that it does not suffer for company,
not even of its own kind;
The third, that it aims its beak to the skies;
The fourth, that it does not have a definite color;
The fifth, that it sings very softly.

San Juan de la Cruz

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