Daily Archives: 2014年3月5日

荒木経惟の言葉

デジタルがダメというんじゃないけど、どれもデジタル的な気分になっている。ただ省略すればいいと思っているように見える。世間の流れで「アート」が流行っているから、テクニックでもってアートにしようとしている。
なんでもない写真じゃ表現の程度が低いとか、ダメだと思っているようだけど、実はそれが一番大切。表現は世間や被写体がしているんだから、写真家はそれを撮らせていただくという気持ちが大事。被写体とか時代とかを利用して、自分でこねくり回してつくるのが写真の本質じゃない。

被写体に対する愛がないというか、どんどん希薄になっているように感じる。死にゆく人を撮っている作品も多いけれど、そんなのはもう止めたほうがいい。撮っても、ここには出さない。それよりも、被写体の生き生きとした瞬間を撮ることが、今は大切だ。
テクニックだとか表現だとかより、まず人を感じて、その時を大切にすること。崇高な思想とかよりも、目の前の人やことが一番。そうすれば結果はついてくる。
みんな先が見えているというか、世の中こんなものだ、という思い込みがあるんじゃないか。ただし、ずっと撮り続ければ分かってくると思う。撮り続けることは、生に向かっていくことなんだ。

ホントに良いこと言うなあアラーキー。

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